大人の発達障害(ADHD) | 北池袋こころのクリニック  
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大人の発達障害

発達障害は、幼少期から現れる発達のアンバランスさによって、脳内の情報処理や制御に偏りが生じ、日常生活に困難をきたす障害です。特定のことには優れた能力を発揮する一方で、ある分野は極端に苦手といった特徴がみられます。こうした得意なことと苦手なこととの差は誰にでもあるものですが、その差が非常に大きく、生活に支障が出やすい方が発達障害と診断されます。

代表的な発達障害として、自閉症スペクトラム障害(ASD)学習障害(LD)注意欠陥性多動性障害(ADHD)が挙げられます。当院では特にADHDの診療に力を入れています。

ADHDの定義

ADHDは Attention-deficit hyperactivity disorderの略で、日本語では「注意欠陥・多動性障害」等と訳されます。幼少期から持続する発達傾向の偏りに基づく障害で、「不注意・多動性・衝動性」の3つの傾向を主な特徴とし、それらが原因で社会生活に支障をきたす障害です。

大人のADHD

「大人のADHD」は2013年のDSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル)に診断基準が追加されました。以前はADHDは子供特有の障害で、成長に伴って症状が消失するものと考えられていました。しかし、ADHDの児童の追跡調査から、成人期に達しても多くの患者で不注意などの症状が残存することが明らかになりました。
そうした背景から、2012年にADHD薬のストラテラ(アトモキセチン)が成人期のADHDに対する効果が認められ、大人のADHDへの保険適応を得ました。2013年にはコンサータ(メチルフェニデート塩酸塩)、2019年にはインチュニブ(グアンファシン塩酸塩徐放剤)が同様に大人のADHDへの保険適応を得ています。さまざまなメディアでも大人のADHDが取り上げられるようになり、「自分はADHDかもしれない」と患者さん自身、疑問に思って受診されることが年々増えてきています。

原因

ADHDの原因は特定されていませんが、抑制や自制に関わる脳の神経回路が発達の段階で損なわれることが、さまざまな症状の原因にあると考えられています。ADHDの成人を対象にした脳の代謝活性を測定する検査では、前頭前野や大脳基底核という脳領域の働きが健常者に比べて低下していることが知られています。前頭前野は理性的な判断や集中力に深く関わる領域で、大脳基底核は衝動性を抑える働きをもつ領域といわれています。

診断

ADHDには、過剰診断の問題があります。一方で、過小診断がされているという指摘もあり、適切な診断を下すには注意深い問診と、適切な検査、並びに適切な検査結果の評価が必要になります。
診断をする上で大切なのは、「ADHDらしさ」がどの程度あり、それによって社会生活がどれほど障害されているかという点です。また、それに加えて他の疾患が原因となっていないか、鑑別疾患を除外することも重要となります。

治療

ADHDに対する治療は薬物療法と心理療法に大別されます。そのほか、鍼治療が有効であるといった報告や、栄養療法での改善、腸内フローラとの関連などの報告が海外ではあり、今後もさまざまな治療法が提唱されることが予測されます。

当院での取り組み

成人のADHDに対する最も基本的な治療法として、薬物療法心理療法を行います。
ADHDに対する薬物療法は7-8割の患者で有効であるといわれています。2019年現在、大人のADHDに対する適応を得ている薬剤は、ストラテラ(アトモキセチン)、 コンサータ(メチルフェニデート塩酸塩)、インチュニブ(グアンファシン塩酸塩徐放剤)の3種類があります。 この内、当院で処方可能な薬剤は、ストラテラとインチュニブです。コンサータは処方することができませんのでご了承くださいますようお願いいたします。
心理療法では、生活や対人関係でのアドバイスをします。ご希望がある患者様には、心理士によるカウンセリングを受けることをおすすめします。ADHDは性格や考え方に深く根差す障害であるため、ご自身の性格をよく理解し、考えを整理していくことがとても大切です
また、WAIS-Ⅳなど詳細な検査を受けることで、より患者さん自身の特性にあった治療やお話をしていくことができます。カウンセリングとあわせてご検討ください。