北池袋こころのクリニックの春日悠貴です。本日、エーザイ株式会社主催のDEフォーラム2019(Dementia&Epilepsy Forum 2019)に出席しました。Dementiaは認知症、Epilepsyはてんかんです。主に、高齢発症のてんかんと認知症の鑑別や治療についての勉強会でした。
認知症の診断や治療において最も大切なのは、認知症以外の疾患との鑑別診断です。
認知症に似た健忘症状を呈する疾患として、例えば、甲状腺機能低下症や糖尿病などの内分泌疾患、高齢者うつ病などの精神疾患、慢性硬膜下血種や正常圧水頭症などの頭蓋内疾患などがあります。
そうした鑑別診断の中に、高齢者のてんかんも含まれます。
高齢で初発するてんかんは、一般的なてんかんの発作型とは異なる特有の症状を示し、認知症との鑑別を含め、診断に難渋することや、認知症と誤診されて治療されることが少なくありません。
高齢者てんかんでは、一般的に認知症に使用される抗認知症薬は効果がなく、抗てんかん薬による治療によって症状の軽減、改善が見込まれます。
高齢者認知症と高齢者てんかんの鑑別点は、以下の10項目にまとめられます。
1.ふだんは何の支障もなく日常の仕事をこなしている。
2.突然動作がぴたりと止まり、声をかけても反応しないことがある。
3.無自覚に口元をくちゃくちゃ動かす、身体をゆする、脚を動かすなどの動きがある。
4.意識を失っても、倒れない。
5.数十秒か数分たつと、何事もなかったかのように動き始める。
6.意識がなかった間のことは何も覚えていない。
7.意識が戻っても数分から数時間、ぼうっとしている。
8.怒りっぽくなり、意味もなく声を荒げることがある。
9.状態の良いときと悪いときがはっきりしている。
10.目の焦点があっていない。
いかがでしょうか?
症状があるご本人は、こうした症状を自覚することはほとんどできません。もし、ご家族から見て、1つでも当てはまる点があれば、高齢者てんかんの可能性も考えて、診断や治療の相談をされることをおすすめいたします。
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勉強会会場の近くでは、MINATOハーフマラソン2019が開催されていました。力強いランナーの方々の走りや、大会を盛り上げる和太鼓の演奏に心惹かれました。
帰宅してからは、サントリーの1万人の第九を聞きながらこのブログを書いています。
ひとつひとつ楽しみの時間も大切にしながら、日々の診療と開院の準備に励んで参ります。